|
それだけが意味ならば。
俺はずっとここに居たい。
lie or true.2
風呂上りの俺が向かう先は寝室。
ドアを開けると、時任が待ち構えていたように、ベッドの上に胡坐を掻いていた。
「久保ちゃん」
「何」
俺はベッドの傍のパソコンの前の椅子に腰掛ける。
大分落ち着いたと思った頭痛は、まだ治ってないようだ。
煙草に火をつけ、一服。
「さっきの、なんだけど・・・」
「俺なんか言ったっけ?」
ちょっと惚けて。
大体、全部の言葉に反応しなくても・・・。
何て思うけど、嬉しいのは本音だろう。
「話にくくなるだろ!俺、真剣に考え込んだんだからさ」
「ん」
時任は小さく唸る。
本当、猫みたいだなぁとちょっと笑う。
あ。本当発見。
「きっとさ、本当なんてどこにもないよ。」
あ、発見却下。
「だから、久保ちゃんはさ、久保ちゃんの思うように生きればいんじゃね?」
役目を終えたかのように、時任はがばっと布団の中に潜り込んだ。
俺はさほど吸ってない煙草を灰皿に押し付ける。
自分の思うように、ねぇ・・・
自分がわからない奴は、一体どうすれば良い?
俺はまた考え込む。
頭痛はやっぱり鳴り止まない。
***
「時任」
幾分か経っただろうけど、きっとまだ寝ていないだろう、時任に声を掛けた。
けれど、返答がない。
布団をめくり、もう1度。
「時任」
「・・・なぁに、久保ちゃん。俺、寝ている設定なんだけど?」
「・・・お前が持っててよ。」
その設定とやらを無視して、話を進める。
さっきみたく、目を丸くする時任を見つめて。
「何を?」
「うん」
「いや、うんじゃなくて・・・」
久保ちゃんは言葉が足りないときありすぎんだよ。と、時任は叫ぶように言う。
あ、ちょっともう夜遅いんだから静かにしないと。
「俺の主導権」
俺はベッドに手をかけて時任の顔を覗き込んだ。
ちょっとだけ身を引くけれど、やめて、近づいてくる。
こつん、と額同士がぶつかる音がする。
「久保ちゃんは久保ちゃんだけのもんだろ?」
「うん。でも、お前のもの、なんだろう?」
「な、何でそれを・・・!」
ばっと身を完全に引いて、顔を赤く・・・いや青くさせる時任。
それに合わせて身を乗り出し、時任の手を握る。
「アンナに聞いた」
「あの女・・・っ」
「まぁまぁ」
笑って、さっき時任がしたように、額をぶつける。
時任は真剣な顔で、言った。
「いいよ、その代わり」
「何?」
「俺の主導権は、久保ちゃんが持ってるんだからな!」
拗ねたような照れたような口調で。
時任は言い放った。
「・・・うん」
俺はやっぱり笑って、時任の唇に自分を近づける。
軽く、触れて、唇は離す。
「じゃあ寝るぞ!」
「はいはい」
だけど手だけは離さない。
絶対に、それだけは譲らない。
いつの間にか頭痛は引いて、知らない間に時任は寝息を立てていた。
お互いの主導権はお互いのもの。
たったひとりしかいない、世界からすればちっぽけな。
僕らの約束。
***
lie or true.の続きでした。
久保田には時任しかいないし、時任には久保田だけであってほしい。
そんなネガイをこめて。(笑)
|