Please touch me





開いてあった雑誌を放り投げて足の間にうまくはまってみる。
背もたれにされた久保ちゃんは拗ねたように俺の髪をいじり始めた。



「読んでたのに、」

「いいの、後で読めよ」



どうしてだか、胸の辺りがざわざわする。
傍にいないと落ち着かないような。



「久保ちゃん、」

「んー?」



首筋にかかる息を意識しないように努力して。



「そっち、向いていい?」

「いいけど、」



髪に触れていた指が外れて、すかさず体を捻って腰にしがみ付く。
頭を下っ腹ら辺に何度も押しつけた。



「時任、」



少しだけ驚きを含んだ声が耳に触れたけど、何の反応も返さないでいる。
背中に掌が置かれて、単調なリズムで優しく叩かれた。



「時任、その位置はちょっと際どい」

「へ?・・・な、〜〜〜ッ」



その言葉の意味を理解して勢いよく体を引き剥がす。



「何考えてんだよ、」

「えっちなこと?」



真顔で久保ちゃんはさらりと言ってのける。
顔が熱くなってきたのに気付いて顔を俯けた。
再び頭に手の重みを感じる。



「・・・素直だな、」

「そりゃ、一応男の子だし?」

「なんだそりゃ」



思わず笑いが零れて自然と視線が上がる。
久保ちゃんは相変わらず俺の髪に触れている。



「ま、」

「ん?」



久保ちゃんが首を傾げるのを見て、手を伸ばした。



「・・・俺も男だし?」



目を瞑ってぶっつけに顔を突き合わすと、口より少し上の辺りに触れる。
狙いが外れたことと、我に返って思い返す自分の行動に顔の温度が急激に上がった。



「時任」



久保ちゃんの声を近くに感じて肩が跳ねる。
語尾は少なからず笑いを含んでいて、バカにされた気分だった。



「笑うなって」

「いや、まさかお前からくるとは思わなかったから、」



いつの間にか頬に添えられた手は冷たくて心地いい。
その儘どちらからともなく引き寄せた。



「なあ、」

「ん、」



息継ぎの瞬間に声を発して、頭の中によぎる言葉を飲み込んだ。



「・・・なんでもない」

「ん」



頭を抱え込まれて俺は肩に手を乗せて、また触れ合う。
音のない世界でそれは確かに耳に触れて、しばらく終わることはなかった。





離れるななんて女々しくて
不安になったらこうして触れていればいい

離さないから
どうか触れていて







***
甘い?ですかー。
時任視点でこういうのは絶対ないと思いました←
ちゅー描写書き難いの!時任視点は難関です。
楽しんで頂けたら幸いでございま。