黄瀬君が緑間君に悪戯するだけの話
「緑間っち、」
ベッドの上で横たわっている緑間の上に覆
い被さると、ゆっくりと閉じたり開いたりを繰り返していた瞼の奥から、深緑の瞳がぼんやりとこちらを捉えた。
「寝るんなら眼鏡、外すッスよ」
辛うじて腹の上に乗っていた文庫本をテーピングの巻き付いた指から外し、開いてあるページに栞を挟み込む。その間に再び、緑間は眠りとの間を行き来し始める。
少しばかりため息を吐いて、柔らかな呼吸を繰り返す緑間から眼鏡をそっと奪うと、ベッドヘッドに置いた。いつもは、これをすると怒られるのだが、(寝ている間に布団のなかに紛れ込むのが心配らしい)折角泊まりに来ているのに先に寝てしまおうとする緑間が悪い。
ーー可愛い俺の復讐心、なんてね。
先ほどまで彷徨っていた瞼は、今はもう閉じられてしまった。憎らしさが積もって、そこに唇を落とす。舌で睫をなぞると、小さな呻き声があがった。少しだけ気分が浮上する。
「・・・・・・、せ」
「ん、なんスか」
こちらを呼ぶように緑間の唇が動いたので、耳に直接言葉を吹き込む。それに反応して身体は揺れて、たまらず耳珠に噛みついた。
「ぃっ・・・・・・黄瀬、」
「ごめん。痛かった?」
噛みついた箇所を今度は舐め取って、それでは足らず、咬んでは舐めて、音を立ててキスをして、繰り返し耳にくちづけた。
「き、せ、黄瀬・・・・・・!」
しばらく夢中にしていると、切羽詰まった声で呼ばれたので、顔を上げると、緑間はいつの間にかぱっちりと目を見開いて、顔を赤らめている。潤んだ瞳と視点がかち合った。
「おはよう、緑間っち」
「・・・・・・寝込みを襲うとは良い度胸なのだよ」
「緑間っちが俺を置いて寝るからいけないんスよ」
「もういい。・・・・・・さっさとどくのだよ」
言葉だけは平静を装って、だけれど表情が触れ合っている身体の熱さが、こちらに訴えかけているようで。
「その言葉には頷けないッスね」
「な、ぅあッ」
べろりと鼻頭を舐め上げると驚きの声があがって、自らが出したその声に更に驚いたのか、唇を魚のように喘がせる。
大して制止が入らないことを良いことに、首筋に顔を埋めて浮き出ている箇所を舌先でなぞり、喉仏を行き来する。顎下の窪みに円を描いて、唇までたどり着いたとき、緑間は熱を逃がすべく息を吐いていた。その呼吸を止めるかのように、舌を滑り込ませ、咄嗟に奥に引き下がろうとした緑間のそれを捕まえて、絡み取っては柔らかく噛む。
そうして暫く口内の愛撫に没頭している内に、観念したのか、緑間の腕が首に回った。くちづけが一層深くなる。
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2012年10月17日pixiv投稿作品。
中途半端なのは力尽きたからです。
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