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格ゲーにも厭きてきたPM6:00。
電子音の最初が鳴り終えるより先に、時任はコントローラーを投げ出し素早く携帯を手にする。
『デートしない?』
一文だけの飾りっ気のない文章は、それでも受け主の心を喜ばせるには充分で。
すぐさま返信し、返って来たメールで待ち合わせ場所を確認、ドタバタと玄関まで向かっていった。
***
「くぼちゃん!」
クリスマスツリーの前で待ち合わせだなんて乙女ちっくだなぁと思いつつ、植え込みのレンガに凭れ掛かって煙草を吸う人物の元へ駆け寄る。
急かされたわけでもないのに急いでしまうのは少しでも沢山の時間を共に過ごしたいから。
女々しいのは自分だと頭の隅で感じながら、やっと目の前まで辿り着く。
「随分とまぁ、急いで」
ニヤリともつかない人の悪い笑みを浮かべて、風に乱れた時任の髪を撫でる。
そのしぐさに多少の不服と、ほのかに香る煙草のにおいに安堵しながらも、会う人に「猫のようだ」と称される顔で笑った。
「で、どこ行くんだよ」
「それは着いてからのお楽しみ」
そう言って極自然に久保田は冷たくなった時任の手をとると、自らの上着のポケットに突っ込んだ。
***
「・・・ここ?」
「そう、ここ」
目の前には行き着けのコンビニエンスストア。
繋いだままの手を放すと、久保田は店のドアを開けて中に入っていく。
取り残された時任は少し抱いていた期待を吐き出すように溜息をつくと、同じように開けたままのドアをくぐった。
「遊園地でも想像してた?」
買い物カゴを手にした久保田はからかうように時任を見る。
男二人がクリスマスの夜に遊園地にいるところを想像すると、すぐに身震いが襲ってきた。
「ありえねーって。さみしさ倍増するだけじゃん」
「何、時任。好きな女の子でもできたの」
「そうじゃないけど!」
時任の反応に面白がりながらも、久保田はカゴの中にサンドウィッチやら鶏の唐揚げやらを入れていく。
そこにお菓子やケーキを追加しながら思い出したように叫んだ。
「あ、ビールもなっ」
「はいはい」
だから店内ではどうかお静かに。
***
遠回りして1時間かけて帰った部屋は冷たく、今は暖房器具をフル活用中。
テレビではクリスマス特別番組と題打って芸能人がわいわいと騒いでいる。
「じゃ、乾杯」
「おー」
ソファを背に金属のぶつかる音を立てる缶ビール。
コンビニで買ってきた夕食は床に広げ、手当たり次第口にしながら同じ空間を過ごす。
今日が何の日だろうと、何処に居ようと。
二人でいることが幸せなんだ。
今日がクリスマスだろうと、この場所がイルミネーションが綺麗に飾られた遊園地じゃなかろうと関係ない。
テレビをぼーっと見つめる久保田を、同じように見つめながら時任は思った。
それはとても簡単なようでいて、とても大切なひととき。
***
メリクリ!ということで(このサイトでは)初イベント小説。
最後が苦しいことに・・・!いつものことだけど。
やっぱり誰かの視点じゃないと苦しいな私が!
オマケ→
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